Elin:ルッツの日記: Difference between revisions
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==ルッツの日記1== | ==ルッツの日記1== | ||
肩書が元勇者だというのも、何かの冗談だったのかもしれない。俺が信じてきたものは、すべて嘘の上に築かれていた。それが崩れ落ちる音を聞いたとき、この世界から去ることを考えた。 | |||
けれど、そのとき、大食いトドのミーちゃんのつぶらな瞳に、なぜか心を打ちぬかれた。そこにあったのは、理想郷への小さな希望だった。だから、俺は彼女と二人きりで、約束の地を目指すことに決めた。 | |||
今は、辺境の森で自給自足しながら、次の旅のための準備をしている。 | |||
眠れない夜に書き始めたこの手紙が、誰に届くのか楽しみだ。 | |||
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==ルッツの日記2== | ==ルッツの日記2== | ||
森の暮らしは悪くない。アピの低木から取れる実は長持ちするし、きのこやタケノコも豊富で、ミーちゃんの胃袋も満たされる。 | |||
何よりも興味深いのは、動物たちの巣だ。そこから稀に見つかる有精卵は行商人たちにとって貴重だし、俺の藁のベッドの上に置いていた卵からは、ある朝、巨大リスの子供が孵化していた。嫉妬深いミーちゃんがどう思うか少し心配だが、きっと頼もしい仲間になってくれるだろう。 | |||
今はリスちゃんとミーちゃんに囲まれて、ささやかな安らぎを得ている。 | |||
じゃあ、次の便りでまた。 | |||
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==ルッツの日記3== | ==ルッツの日記3== | ||
夏の太陽が砂浜を焼き、ミーちゃんとリスちゃんが隣で静かに昼寝している。俺はハンモックに揺られ、パルルのジュースを片手にしていた。 | |||
完璧だと言っても過言じゃない。ここに来たのは正解だったと思う。森を抜け、少し遠出をしてこの浜辺を見つけられたのは、運命の気まぐれだろうか。 | |||
次は、この浜辺のことをもっと話そう。 | |||
- 辺境の森の元勇者ルッツ | |||
==ルッツの日記4== | |||
浜辺での生活もまた、魅力的だ。サボテンの果肉と海藻を皿に盛れば、それだけでもうリゾート気分になる。パルルの木の葉を使えば、簡単な更も作れる。 | |||
岩塩も手に入るが、掘り出すのは容易じゃない。俺の古びたつるはしでは歯が立たない。だが、不可能を言い訳にするつもりはない。何とか解決策を見つけてみせるさ。 | |||
次の便りでまた会おう。 | |||
- 辺境の森の元勇者ルッツ | |||
== ルッツの日記5 == | |||
時々ふと思う。この手紙は誰かの手に届いているのだろうか、それとも、誰知らず野に朽ちていくのだろうか。 | |||
それもいいだろう。俺がこの世界に何を残したのか、それを誰が見つけてどう思うかなんて、大した問題じゃない。 | |||
- 辺境の森の元勇者ルッツ | |||
== ルッツの日記6 == | |||
つるはしなどの道具には、硬度といったものがある。固い素材で作ったつるはしなら、鉄の岩だって砕けるが、木のつるはしでは、よほど採掘技術が高くなければ、その辺の石ころにさえ歯が立たない。 | |||
一旦森の拠点に帰ることにしよう。こんな時のためにとっておいたバサルトの石を使えば、あの岩塩を掘れるつるはしが作れるだろう。 | |||
Revision as of 12:13, 28 October 2024
プレイヤーの自宅に届いた、元勇者ルッツからの手紙形式の日記です。
読めば冒険に役立つ知恵が学べるかもしれません。
ルッツの日記1
肩書が元勇者だというのも、何かの冗談だったのかもしれない。俺が信じてきたものは、すべて嘘の上に築かれていた。それが崩れ落ちる音を聞いたとき、この世界から去ることを考えた。
けれど、そのとき、大食いトドのミーちゃんのつぶらな瞳に、なぜか心を打ちぬかれた。そこにあったのは、理想郷への小さな希望だった。だから、俺は彼女と二人きりで、約束の地を目指すことに決めた。
今は、辺境の森で自給自足しながら、次の旅のための準備をしている。
眠れない夜に書き始めたこの手紙が、誰に届くのか楽しみだ。
- 辺境の森の元勇者ルッツ
ルッツの日記2
森の暮らしは悪くない。アピの低木から取れる実は長持ちするし、きのこやタケノコも豊富で、ミーちゃんの胃袋も満たされる。
何よりも興味深いのは、動物たちの巣だ。そこから稀に見つかる有精卵は行商人たちにとって貴重だし、俺の藁のベッドの上に置いていた卵からは、ある朝、巨大リスの子供が孵化していた。嫉妬深いミーちゃんがどう思うか少し心配だが、きっと頼もしい仲間になってくれるだろう。
今はリスちゃんとミーちゃんに囲まれて、ささやかな安らぎを得ている。
じゃあ、次の便りでまた。
- 辺境の森の元勇者ルッツ
ルッツの日記3
夏の太陽が砂浜を焼き、ミーちゃんとリスちゃんが隣で静かに昼寝している。俺はハンモックに揺られ、パルルのジュースを片手にしていた。
完璧だと言っても過言じゃない。ここに来たのは正解だったと思う。森を抜け、少し遠出をしてこの浜辺を見つけられたのは、運命の気まぐれだろうか。
次は、この浜辺のことをもっと話そう。
- 辺境の森の元勇者ルッツ
ルッツの日記4
浜辺での生活もまた、魅力的だ。サボテンの果肉と海藻を皿に盛れば、それだけでもうリゾート気分になる。パルルの木の葉を使えば、簡単な更も作れる。
岩塩も手に入るが、掘り出すのは容易じゃない。俺の古びたつるはしでは歯が立たない。だが、不可能を言い訳にするつもりはない。何とか解決策を見つけてみせるさ。
次の便りでまた会おう。
- 辺境の森の元勇者ルッツ
ルッツの日記5
時々ふと思う。この手紙は誰かの手に届いているのだろうか、それとも、誰知らず野に朽ちていくのだろうか。
それもいいだろう。俺がこの世界に何を残したのか、それを誰が見つけてどう思うかなんて、大した問題じゃない。
- 辺境の森の元勇者ルッツ
ルッツの日記6
つるはしなどの道具には、硬度といったものがある。固い素材で作ったつるはしなら、鉄の岩だって砕けるが、木のつるはしでは、よほど採掘技術が高くなければ、その辺の石ころにさえ歯が立たない。
一旦森の拠点に帰ることにしよう。こんな時のためにとっておいたバサルトの石を使えば、あの岩塩を掘れるつるはしが作れるだろう。
- 辺境の森の元勇者ルッツ